【総務・人事・労務】「またこの質問…」から卒業。Kanataで社内問合せの一次回答づくりと対応の標準化ガイド
「年末調整って何を出せばいいんでしたっけ?」 「経費精算の締めっていつでしたっけ?」 「有給の申請方法、もう一度教えてもらえますか?」
総務・人事・労務の担当者であれば、こうした問い合わせに一日に何度も手を止められた経験があるのではないでしょうか。「規程に書いてあるのに読まれない」「イントラに載せたのに探されない」——そんなもどかしさを感じながら、それでも丁寧に答え続けているのが、バックオフィスの現場ではないでしょうか。
さらに深刻なのは、こうした対応が特定の担当者に集中しがちなことです。「社会保険のことはAさんに聞けば分かる」「経費規程の細かい解釈はBさんしか知らない」という状態は、一見頼もしいようでいて、その人が休んだ瞬間、異動した瞬間に対応が止まってしまう大きなリスクを抱えています。
この記事で回答)を仕組み化し、誰が対応しても同じ品質で答えられる状態をつくる方法を、実際の操作の流れに沿ってご紹介します。
なぜ社内問合せは「いつも同じ人」に集中するのか
原因は、ノウハウが「人の頭の中」にしかないこと
問い合わせ対応が属人化する(特定の個人に依存してしまう)根本原因は、担当者の怠慢でも、質問する側の甘えでもありません。回答に必要な知識が、文書ではなく人の頭の中に蓄積されていることにあります。
規程やマニュアルが存在していても、実際の問い合わせに答えるには「規程のどこを見ればよいか」「例外的なケースをどう扱うか」「過去にどう回答したか」といった文脈の知識が必要です。この部分が個人に依存しているため、次のような悪循環が生まれます。
- 詳しい人に質問が集中する
- 忙しいので回答を文書化する時間がない
- ノウハウが残らないので、また同じ質問が来る
そして人事異動や退職のタイミングで、蓄積されたノウハウごと対応力が失われてしまうのです。
解決の鍵は3つのステップ
この悪循環を断ち切るには、次の3つを順番に整えることが有効です。
- 情報の一元化:規程・マニュアル・FAQなど、回答の根拠となる情報を一か所に集める
- 一次回答の仕組み化:集めた情報をもとに、基本的な質問には人手を介さず(あるいは最小限の手間で)回答できるようにする
- 回答の蓄積と標準化:日々の回答や周知文面を資産として残し、誰でも同じ品質で対応できるようにする
とはいえ、これを従来のFAQサイトやマニュアル整備だけで実現しようとすると、作成と更新の負荷がかえって担当者にのしかかります。そこで活躍するのが、生成AIを組織として運用するためのプラットフォーム、Kanataです。
Kanataについて:AI活用を「個人のスキル」から「組織の仕組み」に変えるプラットフォーム
Kanataは、最新のAI技術で「人材育成」「現場での実務対応」「業務自動化」を支援するAIファースト業務支援プラットフォームです。検索・問い合わせ・資料作成といった業務が個人に依存し、引き継ぎのたびに生産性が落ちる「業務の属人化」の解消を目的に設計されています。
ChatGPTのような個人向けAIツールとの最大の違いは、AIの設定・プロンプト(AIへの指示文)・回答のもとになるデータを、チームで共有・管理できることです。個人がそれぞれAIを使う状態では、活用ノウハウも回答品質も人によってバラバラになります。Kanataでは、それらをプロジェクト単位で一元管理するため、AI活用そのものが「組織の仕組み」として回り始めます。
総務・人事・労務の問い合わせ対応では、主に次の機能を組み合わせて使います。
| 機能 | 役割 |
| 学習データ | 規程・マニュアル・FAQなど、AIの回答の根拠となる資料を登録・整理する |
| AIライブラリ | 「総務問合せ用AI」など、役割やトーンを定義したAIをチームで共有する |
| AIチャット | 登録した情報をもとに、チャット形式で一次回答を得る |
| プロンプトライブラリ | 回答作成や周知文面づくりの定型プロンプトをチームで共有する |
操作はすべてチャット感覚で行えるため、ITに詳しくない担当者でも専門知識は不要です。日本語・英語・中国語など主要6言語に対応し、PC・スマートフォンのどちらからも利用できます。
それでは、実際の活用フローを操作画面の流れに沿って見ていきましょう。
【実践】Kanataで社内問合せ対応を標準化する5つのステップ
社内問い合わせ対応のKanata運用パターンは大きく2つあります。
- 担当者の下書きとして使う:問い合わせを受けた担当者がAIチャットで一次回答案を生成し、内容を確認・微修正してから返信する。
- 従業員に開放する:プロジェクトに従業員を招待し、よくある質問はまずAIチャットで自己解決してもらう。
ここでは、担当者の下書きて使う運用方法で、労務担当のAさんが「よくある問合せ」に対応する場面を例に、Kanataの具体的な使い方を見ていきます。
STEP1:問い合わせ対応用のプロジェクトをつくり、メンバーを招待する
まずは、Kanata上に「社内規定・労務全般」のようなプロジェクト(業務テーマごとの作業スペース)を作成します。
※ Kanataのホームから「新規プロジェクト」のボタンを押すと、プロジェクトの作成が可能です。
ダッシュボードの「プロジェクト一覧」から新規プロジェクトを作成し、総務・人事・労務の担当メンバーを招待しましょう。
STEP2:学習データに規程・マニュアルを登録する
次に、(左メニューの)プロジェクトライブラリ内の学習データに、回答の根拠となる社内文書を登録します。
※ 「プロンプト、AI、学習データ」とタブメニューが並びますので、「学習データ」を選択してください。
就業規則、経費精算規程、慶弔見舞金規程、社会保険の手続きマニュアル、過去のFAQ——紙やイントラに散らばっていた資料を、ここに集約するイメージです。
登録はファイルのインポート画面から行います。「ファイルを選択」ボタンから、またはドラッグ&ドロップでアップロードするだけです。
登録したデータはフォルダで分類できます。「就業規則」「経費・精算」「社会保険」「福利厚生」のように問い合わせカテゴリに合わせて整理しておくと、後の管理が格段に楽になります。
STEP3:AIライブラリで「総務・人事・労務問合せAI」を設計する
資料がそろったら、AIライブラリで問い合わせ対応用のAIを設定します。ここがKanataの真骨頂です。
※ 「プロンプト、AI、学習データ」とタブメニューが並びますので、「AI」を選択してください。
AIライブラリでは、AIの振る舞い——役割・トーン・禁止事項・参照範囲——を定義して、チームで共有できます。労務問合せであれば、たとえば次のように決めておくとよいでしょう。
- 役割:「当社の労務担当アシスタントとして、社内規程にもとづいて質問に回答する」
- トーン:「優しく丁寧(非専門向け)」
- 出力フォーマット:「結論(不足があれば確認してから回答)」
- 禁止事項:「規程に記載のない事項は推測で答えず、担当者への確認を案内する」
- 回答の確実性:「高」
- 不足情報の扱い:「質問優先(不足があれば確認してから回答)」
- セキュリティ・プライバシー:「厳格」
ポイントは、AIを目的別に複数登録して切り替えられることです。「労務相談用AI」「経費精算用AI」のようにテーマ別に分けておけば、それぞれの回答精度と一貫性が高まります。設定は運用しながらいつでも更新・改善できるので、最初から完璧を目指す必要はありません。
STEP4:AIチャットで一次回答を運用する
準備ができたら、いよいよAIチャットでの運用開始です。総務・情シス・営業など目的別に新規でアプリを作成し、STEP2で登録した学習データと、STEP3で作成したAIを設定します。
たとえば従業員から「有給休暇は何日前に申請すればいいですか。」という質問が来たとします。AIチャットに質問を入力すると、登録されたとなるデータをもとに、分かりやすい一次回答をその場で生成します。
STEP5:プロンプトライブラリで「回答の型」を標準化する
一次回答の仕組みができたら、対応業務全体を標準化していきます。
プロンプトライブラリには、便利なプロンプトを用途別テンプレート(会議、メッセージ、資料、アイデアなど)として保存し、プロジェクトのチーム内で共有できます。総務・人事・労務なら、たとえば次のようなプロンプトを登録しておくと効果的です。
※ 「プロンプト、AI、学習データ」とタブメニューが並びますので、「プロンプト」を選択してください。
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・役割:総務・人事・労務の問合せ一次窓口を担当する担当者
・回答本文の文字数:300字以内(目安。簡潔さを優先)
・引用の扱い:根拠となる条文は「条番号+原文の抜粋」で、回答本文とは別枠に示す
・トーン:です・ます調/従業員にやさしく丁寧に
・回答に必ず含める項目:
① 結論(質問への答え)
② 手続き・条件などの補足(必要な場合)
③ 根拠条文の引用(条番号+抜粋)
④ 不明・要確認の場合の案内(問い合わせ先や次の行動)
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こうして日々の業務から生まれる回答やプロンプトがプロジェクト内に蓄積されていくと、業務の引き継ぎは「蓄積を参照してもらう」ものへと変わります。後任者は過去の回答例とAI設定をそのまま使えるため、引き継ぎ直後から前任者と同じ品質の対応が可能になるのです。
定着させるための運用のコツ3つ
最後に、実際の運用でつまずきやすいポイントと、その対処法をご紹介します。
コツ1:最初からすべての規程を登録しようとしない
網羅性を求めて準備に時間をかけると、運用開始前に息切れしてしまいます。まずは問い合わせ件数の多いテーマ(年末調整、経費精算、休暇申請など)に絞って学習データを登録し、実際の質問で回答品質を確かめながら範囲を広げるほうが、結果的に早く定着します。
コツ2:「答えられなかった質問」を週次でふりかえる
AIが的確に答えられなかった質問こそ、仕組みを育てる最良の材料です。週に一度、うまく回答できなかったケースを確認し、「学習データに資料を追加する」「AIライブラリの役割・禁止事項を見直す」「プロンプトライブラリの定型文を改善する」のいずれかに反映しましょう。この小さな改善サイクルを回すことで、回答精度は運用期間に比例して高まっていきます。
コツ3:AIに任せる範囲と人が対応する範囲を明確にする
規程の解釈が分かれるケースや、個別の労務トラブル、健康・ハラスメントに関わる相談などは、一次回答であっても人が対応すべき領域です。AIライブラリの禁止事項に「規程に記載のない事項は推測で答えない」「個別相談は担当者へ案内する」と明記しておけば、AIが越えてはいけない線を仕組みとして担保できます。従業員に開放する場合は、「AIの回答はまず一次情報として参照し、最終判断が必要な場合は担当者へ」という位置づけをあらかじめ周知しておくと安心です。
まとめ:問い合わせ対応を「人の頑張り」から「組織の仕組み」へ
社内問合せ対応の属人化は、担当者個人の努力では解決できません。必要なのは、回答の根拠を一元化し、一次回答を仕組み化し、日々の対応を資産として蓄積していくことです。
問合せ対応が“流れて消える会話”から“積み上がるチームの資産”へと変わったとき、総務・人事・労務の方々は、本来力を注ぎたい仕事に、より多くの時間を使えるようになるはずです。